PHP Online衆知に記事が掲載中③ - 投稿 - 幸せ収納デザイン株式会社

PHP Online衆知に記事が掲載中③

お知らせ

PHP Online衆知にて「職場環境デザイン」の記事を掲載中

代表の杉田明子が 「職場環境デザイン」で 日本三清水のひとつ、播州清水寺〈西国巡礼25番札所〉が抱えていた問題に取り組んだ際の記事が掲載されました。
ぜひ、御覧ください。
https://shuchi.php.co.jp/article/6921

全文をこちらでもご紹介致します。

 

 

悩めるお寺を救った「片づけ」 古刹・播州清水寺に“起こったこと”

<<信仰にかかわらず、お詣りに足を運ぶことを厭わないのが日本人。やはり神社仏閣好きなのだろう。しかし、そんな願いごとや感謝をしに訪れる、神聖な空間だと思い込んでいるお寺にも、一般企業と変わらない“悩み”があった――

収納デザイナーの杉田明子氏が相談を受けたのは、日本三清水のひとつ、播州清水寺〈西国巡礼25番札所〉の副住職から。「職場環境デザイン」でその問題を解決したいという。職場環境デザインとは、職場の物・空間・仕事の整理を通して、働きやすくやりがいのある職場をつくる、杉田氏が提唱するメソッドである。

歴史あるお寺が、何に困り、何を改善したかったのか? 守るべきものを守り、変えるべきものを変える――そんな決断をしたお寺の新しい挑戦をうかがった。>>

 

 

山寺の景観美との落差に唖然

播州清水寺には本堂が二つあります。ひとつは大講堂で千手観音様が御本尊。もうひとつが根本中堂で十一面観音様が御本尊です。職場環境についてのお悩みをいただいたのは、納経所がある大講堂のほうでした。

ちなみに、清水寺は標高約500メートルの御嶽山全体がお寺となっている山寺ですが、登山路をはじめ、境内の通路には、葉っぱ一枚落ちていないほど景観整備が行き届いています。

ところが、大講堂に一歩足を踏み入れると、外とのギャップに一瞬足を止めてしまいました。

外陣と言われる一般の方が参拝する場所は、大きめの物販スペースにお土産物がところ狭しと重なり合って並べられ、内陣(仏様の住まい)と外陣を仕切る格子の前にも、たくさんの物が置かれています。格子から見えるはずの内陣が、これらの物や貼り紙によって隠されてしまうほど。

御朱印をいただく納経所内も、しまう場所がないために出しっ放しになった物が机上、足元に山積みにされています。広くないその納経所内は、あきらかに人の動きが制限される場所となっていました。

人々がご利益を求めたり、非日常の空間に自分の身を置いて心を静めたり、目に見えないものに感謝をしたりと、日常では味わえないものを感じるために行くお寺の姿とはかけ離れているとしか思えません。

とくに、山寺としての清水寺は景観美が保たれ、今昔物語集にも出てくる由緒や長い歴史、神聖性を感じられるだけに、大講堂内の光景には唖然。急に現代、そして煩雑な日常に連れ戻される印象でした。

 

 

50年前にはなかった悩み

いつからこのような状態になったのでしょうか。尋ねると、昭和50年代、車が通れる登山路が整備されてからのことだそうです。

それまでは山麓から約2キロ、40分の坂道を登らなければならず、参拝者数も限られていたとのこと。道路が整備され、参拝者数が増えることにより、日々の僧侶としての仕事だけでなく、管理業務も増えていきました。

職員が増員され対応するのですが、そもそも大正時代に山火事により焼失再建された大講堂は、観光施設としてつくられてはおらず、仏事、勤行を行う以外の十分な執務、収納スペースを備えているはずもありません。

人が増え、物が増え、40年という時間経過とともに、このような乱雑な状態になってしまったのです。

物は、その場所に関わる人の数と時間に比例して増えていきます。物が増え続けるのを防ぐ仕組みの導入が必要なのは、お寺も一般企業も同じでした。

物が増え続けるという弊害は、組織に大きな損失を与えます。ムダな物、ムダな動線、ムダな空間、ムダな時間、ムダな思考は、ジワジワと組織のコストを増やしていくからです。

 

 

拝観者数1.5倍増を記録!

こうして始まった職場環境デザイン。お寺が終わる17時から23時までという時間帯に、副住職、奥様、職員さん、総出で物の整理からスタートしました。外陣から内陣裏、そして最後は、大講堂下の物置きまで。およそ7日間かけて終了させました。

後に起こった変化は、乱雑な状態からきれいになったということだけでなく、付随して様々な報告がありました。

 

・御朱印をもらうための並ぶスペースができ、混乱がなくなった

・以前は参拝して、御朱印をもらってそのまま帰る人が多かったのに、今では大講堂内をゆっくり見る人が増え、参拝者の滞在時間が長くなった

・内陣と外陣を仕切る格子の周りをスッキリさせたことで、内陣を覗いて見る方が増えた

・お土産売り場を気持ちよく見られるようになり、これまで全く売れなかった物品が売れだした

・職員が働きやすくなった

 

実施の翌月には前年比1.5倍の拝観者数を記録。単にきれいになったから拝観者数が突然増えたという因果関係はないでしょう。しかし、これだけ人数が増えても混乱することなく対応可能となった環境づくりと、多くの拝観者の方に清浄感ある空間を体験いただけたことは、お寺の挑戦がもたらした成果です。

 

 

お寺にも経営が必要

今回ご相談いただいたのは40代の副住職ですが、スタートする前にお聞きした言葉が心に残りました。

「遠くから来られる西国の巡礼さんもいますし、来てくださった方に気持ちよく過ごしてもらいたい。けれど、今はごちゃごちゃとしていて、もう手の打ちようがなくなってしまった。

僕が預かるのは長い歴史のなかの30年ほどだけど、この30年はお寺が変わらなくてはいけないときだとも思っています。環境を整えるのは、その変わらなくてはいけないことのひとつです」

世紀を超えて継承されてきた目に見えない大切なものを守る責任と、新しい挑戦がなければお寺の経営が成り立たないという、現実問題に対する責任を負っていらっしゃるのを切に感じます。

葬儀や法事、観光寺としての収益が、お寺の存続や僧侶、職員の生活を支えています。一方で、後継がいない、檀家数が少ないなどの理由により急激な勢いでお寺が潰れていっている現代。

お寺といえども、時とともに生じてくる問題に応じて変化していかなければ経営が成り立たなくなるのは一般企業となにひとつ変わりません。

 

 

女性が働きやすい職場とは? お寺の「働き方改革」

お寺に行くと、女性の職員が多いことに気づきます。登山路のゲートにいる方、事務の方、本坊の食堂で働く方、山のお掃除をする方、すべて女性のほうが多いのです。

大講堂の納経所にも3人の女性が働いていました。リーダーの女性はお寺の職員として働き始めて3年、「住職、副住職に負担がかからないように」というのが口癖で、非常に聡明な方です。聡明だからこそ、「わからない、知らない」ということを口にしたくない。

ところが、ご自身で判断できない物がしばしばあり、秩序のない環境での仕事にいつもストレスを感じていました。今回の職場環境デザインの実施で、お寺に貢献したい、支えたいという彼女の気持ちと、秩序ある環境が一致。思いが実現されやすくなり、仕事のやりがいもより感じられるようになったかと思います。以前と比べ、ずいぶんと穏やかに明るくなられました。

また新入職員の女性も、元々整理整頓が好きということでしたが、雑然と積まれた状態では勝手に触れないということ、どうしたらいいのかわからないということで、その力はほとんど発揮できていませんでした。今では遺憾なく、彼女の能力も活かされています。

女性は出世したい、名声を得たいということがモチベーションになりくく、仕事や人に対する思いのほうが強いものです。これが働く動機になる傾向にあり、そうした思いを存分に発揮できる職場=女性が働きやすい職場だといえるでしょう。

「職員が働きやすくなったのは、何よりやってよかったと思えることでした」

副住職から最後にいただいた言葉です。お寺の問題解決は、まさに「働き方改革」のスタートへとつながったのです。

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